|
狂宴のプレゼンター 彼の名はヒューゴ。ログウェルきっての名うてトラッカである。エリアッドとのRvRでは数々の戦果を挙げ、単独でも敵国に進行へと出向く勇ましい戦士だ。 その彼が今、途方も無く落ち込んでいる。生気が抜け、ぷぷと戦っても負けてしまうのではないかと思えるほどに弱弱しい印象だ。 事の始まりは3週間前、ギルドメンバーの逆賊隊長と共にリアランドに出向いた時だ。グロムグレイヴでヒューゴはエルフの二人組みをナンパし、その関係は好調に進みつつあった。相手の好感を感じ取って彼が有頂天になりかけたその時、ウィルス感染したヒューゴのPCから流出したある画像がエルフたちの携帯に送られたのだ。その画像とはヒューゴが盗撮したエルフたちのあられもない姿を収めたものであり、当然二人はヒューゴを軽蔑して去っていった。 ヒューゴの屈辱的な画像ファイルはログウェル国内外を問わず世界中に流出した。総司令官のこの不祥事をログウェル最高委員は厳粛に受け止め、諮問会議でヒューゴに対し厳しい処罰が下された。 その内容は、総司令官の称号の剥奪及びそれに伴うマント、ライダーの国家への返還、1年間の自宅謹慎、装備Lv30以上で一定値を超える能力を持った武器防具の徴収、そして公序良俗違反他いくつかの法律違反における罰則金その他が合計1億5千万というものだった。それに加えて被害を受けたエルフたちからの訴訟問題100件余りを抱え、賠償金総額はこれも1億を超えると見られている。 ディレンの一角、自宅の一室でヒューゴが膝を抱えてうつむいている。順風満帆だった頃には綺麗に整えられていた白皙の短髪は、くせ毛が放置され髪染めを怠っているためすっかり斑色の蓬髪になってしまっている。もともと人相の悪かった顔は絶望の暗い色に満たされ、虚ろな瞳が時折怪しく輝く様は異常で近寄りがたい。 部屋の中は以前から小汚かったが今では更にその度合いを高め、至る所にカビやら菌類やらが生えている。乱雑とした室内にも一箇所だけ几帳面に整理整頓された場所があるが、それの詳細はここで紹介するには忍びない。ただ彼の唯一の「趣味」が結集したものだとだけ言っておく。 そんな彼の自宅に一人のポムが近づいてくる。けんTである。3週間前の事件で自身が搭乗するゼプルリーンが撃墜され、ギリギリで脱出したものの負傷を負って入院していたけんTは先日退院し、謹慎を受けてから連絡が取れなくなっているヒューゴが気になり様子を見に来たのだ。 「大丈夫かなあいつ…って、こりゃひどいな」 けんTが目にしたのは、自宅に投げつけられた大量のゴミと塀と言わず壁と言わず殴り書かれた誹謗中傷の言葉だった。 「変態」 「性犯罪者」 「レイパー」 「エロ大王」 「海に還れ」 「変人」 「ちね」 などなど。 けんTは散乱する生ゴミを踏まないように玄関まで慎重に歩き、呼び鈴を鳴らした。だが返事や足音などの反応がない。何度か鳴らしてみるが、異臭と呪いの言葉に包まれたその家は沈黙を守っていた。 鍵の開いている窓はないかと探してみる。どの窓もカーテンが引かれていて中の様子が見えない。やがて道に面した窓が一枚割られているのをみつけたけんTは、辺りに人がいないことを一応確認すると割れた部分から手を入れて鍵を開け、窓から侵入した。 「あぶねっ」 入った部屋には割れたガラスの破片が散乱しており、投げ込まれたと思しき拳ほどの石が転がっていた。 「ヒューゴ?」 明かりも無く物音もしない家の中で家人の名を呼んでみる。返事はやはりない。 「まさか…とは思うが…」 けんTはおそるおそる各部屋を回ってヒューゴを探し始める。途中で見た台所には調理した形跡がなかった。 「おいおい…」 最悪の事態を想定してけんTは焦り始める。そして2階の1室のドアを開けたとき、先述した状態のヒューゴを発見した。 「生きて…るのか?」 薄暗い部屋の片隅に、埃に埋もれてうずくまった人の姿がある。もともと細かった体は一層痩せ衰えて、170cmあるはずの身長は背の高いポム程度しかないように思えるほど小さく見えた。 部屋の入り口で声をかけてもまだ返事が無いため傍まで近寄ったけんTは、微かな呟きを耳にした。 「ぶつ…ぶつ…。お姉さま…おっかないおじさんたちがいじめるんです…助けてください…」 とりあえず生きてはいるようだ。肩を揺すってみても相変わらず反応がないので、しばらくその呟きにけんTは耳を澄ませた。 「ええ…そうなんです。僕は何も悪くないのに…ああっ、ありがとうございます…。えっ、そんな…いいんですか?ぁあ、や、やわらかい…。このまま…甘えさせてもらっても…?」 どうやら、架空の女性に慰めてもらっているようだ。こんな時でもこいつは…、とけんTは嘆息する。いや、逆にもう感心するほどだ。 「アフゥ〜…あなたの耳…とても綺麗な色と形をしている…ほおずり…してもいいですか?するととても落ち着くんです…」 どこかで聞いた事のある台詞だ。まぁそれは今問題ではない。 「ふふ…恥ずかしい話なんですが…李さんのイラスト…ありますよね?あれの耳を見たとき…その…勃○しちゃいましてね…。耳の所だけ切り抜いて…しばらくデスクトップの壁紙にしてました…。あなたの耳も…切り取りたい…」 ヒューゴの蒼白の顔つきに不気味な笑みがうっすらと浮かぶ。けんTはゾッとして身を引いた。 『こいつは…もうだめなんじゃないか…?』 そう考えた瞬間、 「ずっとこのままなんだ…あの日以来な」 部屋のどこかからか声がした。聞き覚えのある声だ。 「き...きのこ!?」 暗がりの中から、きのこ型の特殊スーツを纏ったきのこが現われた。 「…部屋に生えていたきのこにきのこがきのこスーツで紛れていたために気づかなかったのか。紛らわしい。紛れると紛らわしいが掛かって余計紛らわしい」 突然のきのこの出現にやや動転したけんTはそう独りごちると改めてきのこに聞き直した。 「なんでこんなところにいるんだ?」 「こいつが思い余って自殺などしないようにな。見張っていた。厳罰を食らって最初の一週間は辛うじて平静を保てていたが、周囲からの非難や絶望的な未来に耐え切れなくなったか。食事も採らず完全に自分の殻に閉じこもって空想の世界に逃避してしまった」 「なんてこった…」 かつての勇壮な戦友の姿はそこには微塵も感じられない。その哀しいギャップに、けんTはそっと目を逸らしてきのこに尋ねる。 「元に戻す方法は…無いのか?」 「無いことも…無い。が…かなりの荒業だ」 悩むような目をするきのこ。 「やってみるしかないだろ。大切な戦友のこいつをこのままにはできない」 けんTがそう言うときのこは決心したように 「わかった、やってみよう。こいつの…ヒューゴの力強き“魂”をもう一度信じてみよう」 と言ってどこかへと去った。 「温泉に行きませう…二人きりで…。ドトォルのアイスコォヒィもゐいですね…」 どんな想像をしているのか、旧仮名遣いでうわ言をこぼすヒューゴに積もった埃を払い、けんTも帰っていった。 数日後、けんTはきのこから「準備が整った」との連絡を受けて再びヒューゴの自宅に赴いていた。 「結構時間がかかったんだな。大仕掛けなのか?」 やや遅れて到着したきのこにけんTが訊く。 「ん、いやまぁな。なんというか、人材をみつけるのに苦労してな」 「もどかしい言い方をするな。人材と言うのは…カウンセラーのようなものか?」 「そう…だな、まぁ…そんな感じだ。とにかく、見れば分かる。先に中に入っててくれ」 やや腑に落ちず、もやもやした気持ちでけんTはヒューゴの家に入っていく。 2回の部屋に入ると、数日前と同じ場所で同じ格好のうらぶれたヒューゴが頭や肩に再びうっすらと埃を積もらせて膝を抱えている。 「どうしようってんだ、一体…」 きのこの作戦が読めないけんTが首を捻っていると、突然けたたましく階段を登ってくる足音か聞こえ、けんTが振り向いた直後、 「はーい、ダーリン、お届け物よー!」 パンパンパーン! 「いえーい!」 甲高いエルフの声が部屋に響いた。同時に鳴らされるいくつかのクラッカー。 「ああぁ!?」 けんTは嬌声と共に部屋に飛び込んできた2人のエルフを見やる。 「ぼ、ぼぶ!?」 エルフの一人は同じギルドメンバーのぼぶだった。頭にばかばかしいほど大きな赤いリボンを結わえ、その長いリボンをそのまま裸の体に巻きつけて際どい所で重要な部分を隠している。 「わ、わたしがプレゼントよっ!す、好きにしてぃいからね!」 精一杯媚びた表情と甘い声でヒューゴに近づくぼぶ。だがなれない動作なためか、言葉や動きがぎこちない。恥じらいのために頬は赤く染まっている。 あんぐりと口を開けてたたずむけんTの目に、二人目のエルフの姿が入る。 「…何をやってるの?あなたの力はそんなものなの?この薄汚い豚が!」 冷ややかな声でヒューゴを罵るそのエルフは打って変わって悪魔マスクを着用、漆黒のガーターベルトにウェストニッパー、黒光りするムチ、そして網タイツ、尖ったヒール…これは… 「じょ、女王様…って、ええっ、エ○ーさん!?」 驚愕するけんTにきのこがしれっと説明する。 「バリエーションは多い方がいいと思ってな。敵国のエ○ーさんに急遽手伝って貰った」 「お前が言ってた荒療治って…もしかして…」 「うむ、大仕掛けというか色仕掛けだな。これで奴の“魂”が目覚めればあるいは…」 二人のエルフがそれぞれの方法でヒューゴに迫る。 「ね、ねぇチョコレート作ってきたんだけど…あの、む、胸の谷間にね?挟んで持ってきたら溶けちゃって…こここ、このまま食べて貰ってもいいかなぁ…?」 「さっさと目を覚ましな!じじいの○○○(ピーッ)みてえに萎れやがって!親指くわえて、ママのおっぱいが恋しいのか?百回の鞭打ちに耐えられたら吸わせてやるよ!」 けんTはなぜか涙を流しそうな気分になった。 「あぁ、ぼぶ、あんな頼りない格好で…顔を真っ赤にして…かわいそうに…えと…エ○ーさん?なんだか芝居が堂に入っているようなんですが…それは…素ですか…?」 こっちの精神が崩壊しそうだ…目の前で繰り広げられる異常な光景を見てけんTがそう思った時、ヒューゴの体に異変が生じた。 「おお…ぉ…?」 ヒューゴは体勢を変えて二人のエルフに釘付けになる。長らく動かなかったためにあちこちの関節が軋む音がする。だがやがてその目には黄金色の輝きが戻り、2週間は何も食べていないはずの体には傍目にもわかるほどの生気が宿る。 「おおおーー!」 悲鳴にも似た雄たけびを上げてヒューゴが立ち上がる。 「覚醒したか」 きのこが呟く。 「まじ!?まじでこれ食べていいの!?ななな、舐めちゃうよ!?舐め回しちゃうよ!?ぐひひ、こっちの蕾も舐めちゃおっかなー!!うへへ、うえへへへへへ」 この世のものとは思えないほどいやらしい顔をして迫り来るヒューゴにぼぶは怯えて腰を抜かし、あとずさる。触手のような動きで伸びるヒューゴの手がその柔肌に掴みかかりそうになった時、 パシィィィン! 鋭い音を立ててその腕をエ○ーのムチが叩きのめす。痛みに手を押さえてうずくまるヒューゴ。 「おらぁ、何やってんのよ!糞エロトラッカーが!這いつくばって懇願しな!!」 「ああぁああ、お姉さま!もっと、もっとぶってぇー!」 響き渡るムチの嵐。 「これでもか!この意地汚いムカデ野郎!」 「あぁ、もっと、もっとぉ!そのヒールで踏んで下さい!その妖艶な唇で醜い私を罵ってくださぁい!」 ぼぶのリボンを掴んだまま悶えて転げまわるヒューゴ。その体が棚にぶつかり、整然と並べられていた彼秘蔵のAVが崩れ落ちる。 「こんなものを見ておっ立てていたのか!?恥を知れ負け犬が!」 「あああ、みなぎってきたぁ!もっと強く!強くぅ!」 「いやぁ、離してぇええ!」 けんTはついに泣いていた。ヒューゴは確かに生気を取り戻した。…最悪な形で…。 「これはこれで…うっ…、狂ってるんじゃ…ないかな…」 「ふむ。生気は取り戻したが正気は取り戻せなかったか。まぁ、いつもこんなものだった気がするぞ」 なんでもないような口調でさらっと言ってのけるきのこを横目に、けんTは混沌とした部屋を眺めていた。 おしまい|ω・`) 次回予告〜 ついに復活したヒューゴ。彼に最高委員キアヌスから密命が下る…果たしてヒューゴと仲間たちは任務を果たせるのか!?エリアッドの精鋭部隊も登場!次週「気がかりなストレンジャー」…ヒューゴ:「待ってろよ、ぼぶ」 |
| << 前記事(2007/07/20) | トップへ | 後記事(2007/07/22)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
エ○ーさんテラこわす(||゚Д゚) |
きのこ 2007/07/22 05:15 |
あはは☆ |
ひめか 2007/07/22 10:13 |
エ○ーさんは怖いデスヨ|д・) |
ふれ@管理人 2007/07/22 12:05 |
ふれさんたら、なんで知ってるの?|ω・`) |
erie 2007/07/23 01:48 |
erieさんほんとごめんなさい|ω・`) |
ふれ@管理人 2007/07/23 02:50 |
| << 前記事(2007/07/20) | トップへ | 後記事(2007/07/22)>> |