ふたこぶくじら

アクセスカウンタ

zoom RSS 雑文羞

<<   作成日時 : 2017/09/05 22:46  

かわいい ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 6

あっちにいってこっちにきて

 MMORPGというのは、僕が僕以外のナニカになれる場所だと思っていたのだけれど、どうしても僕は僕を離れられないというのを思い知らせてくれた場所のようにも思う。無限の可能性を見せてくれたおかげで、限界が露わになってしまったような。自分の中で勝手に批評的なアレにソレしてしまう。

 それはそれとして、……うげええええ。げぼる。吐く。お酒と、それの酔いと、ほかのあれこれによる酔い。酔っ払い。「酔う=吐く」。ずいぶん飲み下したくせに、思い切りそれらを吐き出す。

 結局、その後に僕のもとに残ったものは何だろう? 頭痛。吐き気。吐くものも、もはやないのに。

 そういう目をそむけたくなるような愚行の残渣を10年以上部屋の片隅に、あるいは全域に、積み重ねた果てに、僕が得たモノ。とは。



 しらばっくれて、他の事に話題を移す。いいよね? いいさ。



 いつだって、投げ渡される。そして僕らは途方に暮れる。

 魔法使いたちがいた。彼らはその昔、それまでの世には無かった魔法の研究をしていた。彼らは一時期まで、理想を共にする盟友だった。しかしそのうちの一人が、魔法の使い方を暴走させた。世界は混乱と破局に誘われた。

 その数年後、魔法の暴走に与しなかった魔法使いの一人が、放浪の日々に明け暮れていた。やがて旅の途中、彼は普通の、魔法を知らない少女と出会った。彼は世界をボロボロにした魔法使いを探していた。彼女はボロボロになった世界で懸命に生きようとしていた。

 彼はやがて、彼の探し求めていた人物と出会う。宿命の敵であり、かつては彼の心を奪っていた人物と。彼はその人を殺そうとする。愛憎の果てに。でも何も事情を知らない少女は、彼にそんなことはやめてくれと嘆願する。

 もう一人の魔法使いがいた。妖艶な美女。彼女は己の舌に魔方陣を刻んだ。彼女が口づけをする相手を火炙りにするために。そうして実際、彼女は幾人かの、彼女にとって見過ごせない人間を殺めてきた。

 彼と彼女とは、同じ一人の人間を追い求めている。その人物を打ち倒すことを求めている。少女はそれらの過程をある程度まで眺めている。

 もしかしたら、彼と彼女にとって誤算だったのは、少女の存在かもしれない。でもあるいは、彼と彼女にとっての当然の存在がその少女だったのかもしれない。

 いずれにせよ、彼と彼女とは、互いに求めた一人の人物を殺し、次に彼と彼女とで殺し合った。少女はその度に叫んだ。もうやめてくれと。

 少女が彼らの最期にみたものは、ただの夕焼けだった。一年生きていれば数十回は目にするような普通の夕焼け。

 でもその夕焼けには、彼の死骸があり、彼女の死骸がある。そして彼らに殺された一人の魔法使いの屍も。

 彼ら三人が生きている間、少女は彼らの無事を願い、彼らに祝福あれと祈り、彼らが



 少女はそこで筆を止める。別に書くことなんてこれ以上なにもないのだ。おしまい。これまでに人々が幾千億死んできていても、少女はその数千億の屍を見ることも触れることもできないのだ。少女は酒を口にする。


 そんで、吐くよね。飲んだら吐かずにはいられぬわいのぉ。トイレとお友達。僕ではないものを摂取して、僕ではないからと拒絶して、しかしそのときにはもう僕は僕ではないものになっており、僕は僕ではないものを拒んで吐き出そうとして、僕そのものまでも便器の中に吐き出してしまう。あるいは、その少女が。彼女を。

 きもい。きもいね。僕がなりたかったもの。なりえないもの。石で頭を打ち、うまくいけば死に、うまくいかなかったら途方もない阿呆になり、あぁ、外の世界さえ僕の目に入らなかったのなら。耳に届かなかったのなら。



 外では風が吹いている。窓をほんのわずかだけ開けていると、不穏な風切り音が鳴る。窓の向こうではとても恐ろしい、暴力を予感させる風が吹いているかのように。

 逆に、窓を思い切り開けておけば、それは実は爽やかな風だったと感じられるのかもしれない。でも、窓をそこまで開けられない人もいる。カーテンすら閉じていたりする。日の光に脅えてしまう。あのわずかなカーテンの隙間から差し込む、射るような光。もしカーテンを開けたりしたら、目は潰れるし体は砂になってしまうのではないか?

 外が十分に穏やかだろうと推測できたとき、ほんのわずか、窓やカーテンを開けてみる。もし外が無風の曇り空だったり夜であったりすれば、もう少し開けてみるかもしれない。

 窓を開けられない人は、常に外の世界に怯えている。あるいは、疑り深くなってしまっている。窓を大きく開くことに慣れている人にとっては、それはもしかしたら理解しがたいことかもしれない。もっと窓を開けば清々しい朝日と心地よい風が入って来るというのに、なぜ、いかにも気持ちが沈みそうな暗い部屋で、不安を煽るような風切り音を聞き続けているのか? と。

 窓を大きく開けている人も、風切り音は知っている。窓をわずかしか開けられない人も、爽やかな風があることは知っている。

 そして窓は、いつでも開けっ放しというわけにはいかない。雨や嵐の時には閉めなければならない。

 そのような時でも、窓をわずかに開けている人は、そのままにしておいたりする。不気味な風切り音を聞き続けていても、雨が部屋に侵入してこようとも、窓をわずかだけ開け続ける。それはいささか病的にも見えたりするけれど、もしかしたらそれは、希望であるのかもしれない。

 わずかでも開いていること。開ききることもできなければ、閉ざしきることもできない、とても中途半端な、未練がましいやり口。

 それでも、どうしてもそこには希望があるべきだと、



 やがて少年は口を閉ざす。目を潰し、鼻も耳も削ぎ落とし、舌を引き抜いて十本の指を溶解炉へと突っ込む。なにもない。はず。だけれども、一つ残った肌の感触が、風の音や日の光にすこし戸惑う。動いてしまう腕や足が、指先のようになにかを示そうとさえしてしまう。

 僕らはみんな(と言ってしまいたい)、自ら失ったものを今ここにこそあれかしと願う芋虫だ。だよね? そうだよ。みんな、みンなそうダヨ……


 羽化。芋虫ならさなぎを超えて成虫にならなければ。ならない。

 ほんとに? 芋虫のまま生命を終えていく例など数限りなくあるのに?



 さなぎ。それは幼虫よりは幾分か、頼もしい存在に見える。少なくとも、そこに至るまではとりあえず生き残ってきたのだ。

 さなぎは成虫になる夢を見る。それはかなり現実的に近い場所にある。幼虫にくらべれば。そして、夢を見るための眠りにつく時間は豊富にある。たとえ覚めていても夢を見るくらいに。僕らは殻を手に入れたのだから。


 からたちの木が凍てつく冬を乗り越える夜、ひとつのさなぎが夜を乗り越えられずに死にゆく。春を迎えることができなかったソレは、生命から遠ざかってしまったソレは、まるで枯れ葉かゴミみたいに見える。ソレが、彼が、見ていた夢と一緒に、彼はどこかに行ってしまった。


 僕はそういった彼らの生まれ変わりなのじゃないかと思う。


−−

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
かわいい

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
最近解読されたと話題のヴォイニッチ手稿はこれですか?
Cipher地蔵
2017/09/11 13:22
なにそれ初めて聞いた。調べてみたけど酔ったあたまではよくわからなかった。
僕にしかわからないあれこれ。僕以外の人がわかったとするなら、ふふんと鼻で笑うあれこれ。くやしいのう、くやしいのう。まぁいいやな。いいやね。所詮は酔っ払いのたわごと。そういったものを僕は悔やみ残していくしかないのだ。探せ。このよのすべてをそこにおいてきた・・・
Flerov
2017/09/11 20:52
えぇー、停止宣言されていたとは・・・
帰ってきたBlackit
2017/09/25 21:07
どうもです。次に日本語でのコミュニケーションが取れない海外プレイヤーへのアカウント停止の対処、というかクラメン二人がアカウント停止されることがあったら、クラメンと共にやめるべきだと考えておりましたので。とりあえずブログやツイッターまではやめないので、何かありましたらこちらやそちらまでコメント頂けたらと思います。申し訳ないです。
Flerov
2017/09/25 21:27
ごぶさたしています。
色々あるようですねえ。
新しい何かに挑戦する頃合なんでしょうか。

私はすっかり居場所をtwitterに移してますが、おかげさまでまだ化けの皮は剥がれていません。
向こうでお待ちしていますヽ(゚Д゚)ノ
はんちょ
2017/09/26 13:41
ロズリンならいたんですけど、別アカウントなんでしょうかね?何か言ってた?と言われたので、ここに書いておきます
帰ってきたBlackit
2017/09/26 14:46

コメントする help

ニックネーム
本 文
雑文羞 ふたこぶくじら/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる