秋の夜の

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りぃりぃ、ころころ。秋になりゆうで、夜ンなれば虫が鳴くワイね。もう団扇もいらんわナ。

お、坊、まだ起きてたダか。こっちゃ来い。あのへん見やれ。暗いダマんなっとゥ、住吉サマ(神社)ンとこの、ちょっと山の方だワ。メえる(見える)か?ほれ、ちっちゃい花火が上がるずらい。ありゃな、花火の幽霊なんだワ。誰も上げんでも、今頃ンなると勝手に上がるんだワ。おっかなかねぇラ(怖くないでしょ)?音が聞こえねぇでね、変なもんだけんどもナ。マァ、間ァ抜けた幽霊だワネ。こんな涼しぃなってから。

昔ナ、住吉サマのお祭りあった時にナ、花火ィ見たいって子ォがナ、あの脇ンとこの川におっこっちゃって、いなくなっちゃたんだワ。雨ェばちゃばちゃ降ってたに、今日は見らんねェって言うにナ、どうでも行くって聞かねぇで、オッツァマ(お父さん)とオッカサマ(お母さん)寝てから、独りでこっそり家ィ出て、住吉サマんとこ駆けてっただワ。もうお祭りも終わってるにナァ。子供だで、わかんなかっただね。そぃで、坊も前行ったことあるずらい、あの赤い橋ンとこで、すべって落ちちゃっただナァ。まぁず、もうらしい(かわいそう)ナァ。そぃからもう、オッカサマたちぁ住吉サマにお願いしてナ、あの子ォ、メっけてくれって。そぃで、だいぶしてから、ずっと下のカラス川ンとこでメっかったんだワ。ちょうどこんな涼しぃなってからナァ。

そぃからナ、今頃ンなるとあの花火ィ上がるフウになっただヨ。これナ、坊とバァ(おばあちゃん)しかメえねえだヨ。うんと若いうちか、ジィバァになってからでないとナ。メえねえっていうだワ。坊ももうちょっとしたらメえなくなっちゃうずらナァ。これナ、いなくなっちゃった坊のジィからナ、おれがここォお嫁にきたとき聞いただ。こないだ、一緒にジィ迎えに行ったいナ(行ったよね)。お盆ときィ。

ん、どした、お便所か。あぁ、あいあい、バァがついてってやるでな、シィしてこい。


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という、昔おばあちゃんから聞いた話。


…ではなくて、なんか怪談作りたかったのでした。花火の幽霊は夢幻紳士とかでもあったけど、違う形でお話にできたらなぁ…と思ったものの、いい案思いつかなくてエセ方言でごまかし。


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